深紅の薔薇姫に愛を
「麗薇、行くぞ。」

漣がドアから覗いて、言うからあたしは返事をして部屋をでた、

新しい、じぶんに向かっていく。

光に向かって、どんどん歩んでく。

いまは、これが最善だと思っていたから。

こうするしか、キミのことを忘れられないと思ったから。

…………分からなかったの。どうすればいいのか。



螺旋階段をつたい、倉庫の前まできたあたし達は千紘と乗った車に乗っていた。

左に漣、右に遙真とめっちゃ雰囲気が悪い。

なんで女嫌いの遙真をあたしの隣に座らせたのか大河の心理が読めないんだけど。

たぶん、大河は遙真に女嫌いを直してほしいって思っているはず。

それがあたしにできると思っているから、彼はあたしと遙真の接触を多くしたいん

だとおもう。

………まあ、あくまであたしの考えなんだけど。

左に漣を置いたのは……わかんないけど。

車は発進して、コロコロ景色が変わっていく。

しってるもの、知らないもの。

沢山あって、こんなにじっくり外の世界をみたのは久しぶりだろう。
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