深紅の薔薇姫に愛を
シャキ、シャキと髪が切られる音がする。

どんどん短くなっていくあたしの髪。

この髪のように、あたしの過去も切り捨てられたら良かったのに。

そんな、あたしらしくない考えが浮かぶ。

髪を切ってもらうのは、これが2回目なんじゃないのか?

……よく覚えてないけど。

覚えている限りのはじめては、琉といったところだ。

それからは、髪を切っていない。ずっと伸ばしている。

時間が経っていくと、まるであたしじゃないぐらい変わっている。

「麗薇ちゃん、髪、巻く?」

そこもまた、悩む。あたしはずっとストレートだった。

だから、変えるなら巻いてもいいのかもしれない。

「はい、お願いします。」

その答えに驚いたのか、漣、大河、遙真はあたしのほうをばっとみた。

それほどのことじゃないと思うんだけど。

だんだんと髪が短くなっていき、あたしはいつのまにか眠っていた
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