深紅の薔薇姫に愛を
「じゃ、着替えもしよっかー、」

千鶴はあたしに大きな袋をわたすと、なぜかある試着室に押し込んだ。

あたしは押し込まれ、袋の中をみた。

「………カワイイー、」

口からでたのは、そんな言葉。いつものあたしなら、絶対にきないような感じだ。

花柄ブラウスに、ジーパン生地のサロペット。

あたしには、似合わない気もするけど。あたしは渋々、それを着る。

どういう訳か、タグもない。千鶴か千紘が切ってくれたのかな。

………と、言うわけで着てみたけど、似合わないよね……。

サロペットは下がスカートになっていて、もちろん膝より上。

ミニって言った方が正しいのかな。

「麗薇ちゃんー!終わった?」

カーテンの向こうから、千歳さんの声がする。

「はい!終わりました!」

そして、あたしは勢いよくカーテンを開けた。

どうしてなのか、顔が赤い人が数名。

……ああ、あたしが髪とメイクしてもらったから、変わっていてしかも脚を放り出し

たミニを着ていて、”色気”が出ているということなのだろうか。

あたしに色気なんて、ないと思うけど。

それから、あたし達は倉庫に帰ってきた。

時刻は、11時37分。もう、ご飯の時間だ。

「麗薇、ごはんどしたい?」

大河があたしの隣に勢いよく座り、あたしに聞く。

……うーん、夏だしそろそろそうめん、とかいいよね。

……でも、ほかの人が嫌って言うかもだし……

「遠慮しないで。食べたいと思ったもの、言ってみて。」

そう促されたあたしは、素直に答える。

「……そうめん、食べたいな。」
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