Reaper..†



「…っお、前……!!」



背中から、冷たく尖ったまるで刃物のような手が…俺の腹に貫通した。



そしてその大量の血は……


「母、さ……」


母さんに…かかった。



「エマ…レインに感謝しないとな。」


ズボッと手を抜かれて、俺はその場に崩れ落ちる。


目の前にある白く細い足は……継ぎ接ぎが消えていた。




「やはり純血の大量の血は素晴らしいな…」



全て母さんに持っていかれて、傷が癒えない。



「レイン…感謝するよ、エマを治してくれて。」


コツコツと近づいてくる足音。


見上げると、その顔はもう“ジルさん”を被ってはいなくて…



「クロス……」




憎い憎い、アイツの顔だった。








「クロス、さん…?」



遠くから…声が聞こえる。




その声を聞いてクロスはニヤリと笑った。





「あぁ、そっか…レインにはまだ教えていなかったことがあったよ。」




なんだか分からないけど、聞きたくない…それだけはハッキリしている。




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