Reaper..†
ギィ…という錆びた音に、CROWNの扉を初めて開けた時のことを思い出す。
…まだ入って1週間も経たないのに何故か懐かしく感じるのは何故だろう。
「…何も気配はないな…」
臭い…は、街の臭いがここにまで充満していてよく分からない。
「…誰?」
暗闇から急に現れたのは、1人の少女。
長く黒い髪はまるで死神を表すかのよう。…でも今はこの子が死神か人間かすらわからない。
「君は死神ですか?それとも…人間ですか?」
そう聞くと、少女は左眼の眼帯を外す。
その目は、死神の目…籠目の模様があった。
「どっちだと思う?」
片方は普通の人間の目、片方は籠目模様の死神の目。
でも全くこの少女からは死神の気を感じない。
…なんでだろう、何故かとても…
「…なにをっ…」
寂しそうで、抱きしめたくなった。
「…すみません、つい。」
「ばっ、つい人を抱きしめる奴がいるか…!」
少女は即座に離れ、顔を真っ赤にした。