Reaper..†


目を疑った。


お母さんの右手にある籠目模様の目は、少しギョロっと動いて私を捉えたから。



「…そしてお母さんは、私の左眼に死神の目を移植した。」



全部この街での出来事。



私を忌み嫌う街人はこの洋館へ追いやり、お母さんはお父さんの死体を抱えこの街を出て行った。




目が覚めると死神の死体もなくって。





「…でももう、いいの。」




1人は慣れたから。




この街の水が枯れたと聞いて、神なんて居ないんだって思った。




「…私は人間。レインがそれを信じてくれるなら…それでいい。」




私に残ったのは封術。



お父さんの…能力。



封術は守ることしか出来なかったけど、お父さんは封術でも戦った。




でも私は今、この洋館を封術で固めることしか出来ない。




「エシリア、その力…人の為に使ってみませんか?」





…いいのかな。




「私、こんな片目だから…」




きっとどこに行っても嫌われてしまう。





「大丈夫ですよ。」



その時私を抱きしめたレインの手は、冷たかった。




…でも何故か暖かく感じた。






エシリアside end





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