罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


先日行われた席替えで、念願の窓側、しかも一番後ろの席を手にいれた私は、とても舞い上がっていた。

なぜならここは、いつでもグラウンドを見ることが出来るから。

私は黒板ではなく、透明なガラスの向こう側の世界を見る。

青空を切り裂くように伸びている梢は、あやとりをするように影を作っていた。

その影を踏み、走る集団。砂埃が宙を舞っていた。

私の高校では学年ごとにカラーが決められている。

ネクタイの色やスリッパの色、体操服のゼッケンの色など。

一目でどの学年か分かるようになっている。

三年生は緑、二年生は黄色、一年生は赤だ。その学年に進級すれば色が変わるというわけではなく、ローテーションで色が変わっていく。

そのため三年生の私は、三年間緑色だ。

そして今、グラウンドにいる生徒の名前のゼッケンは赤色。

一年生の授業のようだ。

今の時期は全学年共通で新体力測定を行っていて、恐らく今は男子の持久走だ。



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