罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。



ピーっという笛の音が窓を閉めていても聞こえてくる。

それと同時に先程走っていた集団とは別の集団が走り出した。

私はその集団を目で追うのではなく、つい先ほど、細い音をグラウンドに響かせた主をジッと見つめる。

その人物の名前は岩崎和希――――先生。春になってから先生がよく着ている青いウィンドブレーカーには、白い線が腕のところに入っており、どこか国民的人気キャラクターを連想させた。

実際の先生は細身で、日焼けのせいで色黒で、身長もあって、目は少し釣り目で、全然似てはないのだけれど。


< 11 / 64 >

この作品をシェア

pagetop