罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


休み時間になれば、必ずと言っていいほど友人の理子が私の席にやってくる。


「怒られてたね~」


ニヤニヤしながら片手にはお菓子の袋を持っている。私は頂戴、と言って返事を聞かずにお菓子を一つ貰う。


「本当最悪だよ」


理子とは高校に入ってから仲良くなった友達。出席番号がたまたま前後で、理子から話しかけてくれたのをきっかけに、二人で過ごすことが多くなった。

理子は笑いながら私の前の席に座った。理子の優しいフローラルな柔軟剤が鼻孔を擽る。毎日のように一緒にいるせいか、その香りはどこか私を安心させる。




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