罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


「先生っていくつだっけ?」

「えっとね…確か今年で28歳かな」

「うわ。10歳も年上じゃん!」


一花の言葉に、私は小さく頷いた。

10歳。干支をほぼ一周してしまうほど、私と先生の年齢は離れているのだ。

私が生まれた時、先生は10歳の小学校4年生。私が小学校4年生になる頃、先生は20歳の大学2年生。

どんなに頑張っても、先生に追いつくことはできない。


「彼女とか、いるのかな」

「んー。どうだろうね。仮にいなかったとしても、難しいんじゃない?教師と生徒、なんて」


一花の言葉に私は間髪返事を入れる。


「卒業しちゃえば問題ない!それに彼女がいたとしても、若さで勝負よ!」


なんて言ったものの少し、いや、だいぶ不安である。

この前テレビで、男性が結婚を意識しだすのは20代後半~30代前半って言っていた。だから、先生も結婚を考えるのにはおかしくない年齢なんだろう。

先生からしたら私は制服を身に纏ってるだけでも子供だというのに、今年17歳になる私を恋愛対象として見てくれるかさえ分からない。

10分の休み時間は、お喋りをしていると光の速さで過ぎ去っていく。気が付けばチャイムが鳴り、一花は慌てて自分の席へ戻っていった。


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