罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

side A



「パラレルワールド?」

「そう!菜々はパラレルワールドってあると思う?」

そういえば、パラレルワールドを題材にした映画がいくつかあったなぁ、とぼんやり思い出しながら目の前にあるグラタンを口に運ぶ。

料理が来てから結構時間が経っていたので、猫舌の私でもすぐに飲み込むことが出来た。


「あ、すいません追加注文お願いできますか?」


私がすぐに答えを出さないので、先ほどから忙しなく動き回る店員さんを呼び止め、食後のデザートを注文する一花。


ここのファミレスでよく食事をする私たちにとって食後のデザートを注文する事は、寝る前に歯を磨くのと同じぐらい当たり前の事となっていた。


私が何も言わずとも、一花は私が毎回頼むレアチーズケーキを一緒に注文してくれた。


< 2 / 64 >

この作品をシェア

pagetop