罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

そのまま冬になり、成人式を迎えた。

だけど、新成人でごった返すそこで彼を見つけることは困難で、まあどうせ同窓会に来るだろうと思っていたのだけども、彼は同窓会に姿を見せなかった。


成人式自体に来なかったのだろうか、と考えたが、次の日、沢山の友人たちが晴れ着姿をSNSにあげる中に紛れ、彼のスーツ姿で友達と映る写真を見つけた。

それに『いいね』を押すが、それでもフォローは返ってこない。

…まあ、気にすることないか。

自分に強く言い聞かせるも昔仲が良かっただけに、傷ついてる自分がいるのもまた事実だった。


悩んだ末、私はフォローを外した。フォローし続けて、彼の投稿を見るたびに、私はまた考えてしまうから。

それに、彼には彼の世界があって、私には私の世界がある。

二人の世界が、時間が、交わってたのは、一五歳までの話。



―――――だったのに。


二年四組のあのメンバーで飲み会だなんて。

仲がよかった友人たちが東京にいるのはSNSで知っていた。しかし、皆それぞれ進んだ道を楽しんでいたため、誰も集まろうという声をあげようとはしなかった。

だけど地元で行われた成人式で久しぶりに再会した事により、東京で飲もうという話になったのだ。

そしてその話が、現実になろうとしている。


…翔は来るのだろうか。

久しぶりに会いたいという気持ち半ば、SNSの事があったので会うのが気まずいという気持ちもある。

二つを天秤にかけた時、どちらに傾くか私にはわからなかった。


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