罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。
――――――――…
屋根を打つ雨の音で目が覚めた。重い瞼を少しだけあけて、枕元に置いてある時計を見ると目覚ましが鳴る十分前だった。
「雨、かぁ…」
脱力しながら呟いた言葉は雨音の中に溶けて消えた。
目覚まし時計のスイッチを切って、時計とは反対側にいつも置いているスマホに手を伸ばし、ロック画面を解除する。
夜中にきていたメッセージを一通り確認し、重要性の高いものから順に、慣熟したフリック操作で返事を打ち込み送信する。
【今日一八時に新宿南口改札で!】
一花から来ていたメッセージも、『り』と打ち込み、文字変換予測の一番左に出てきた『了解』の文字を押して、送信ボタンを押した。他のメッセージに対しても、簡単な返信を送り、スマホをもう一度枕元に置いた。
ゆっくりと体を起こし、重い足取りでキッチンに向かう。冷蔵庫から取り出した大きめの無調整豆乳と書かれた紙パックを手に取り、コップに流しいれた。
再び豆乳を冷蔵庫に戻したら、コップを手にとり、ワンルームの部屋に戻って、テレビをつける。
これが私の朝の日課だ。