罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。
毎日のようにやるニュース番組は、すぐに忘れ去られてしまうニュースばかり。
誰が誰を殺しただの、誰が誰と不倫しただの。世の中で起きている事は知っておくきだ、という世間一般の考えから、とりあえずニュースには目を通すようにしている。
私の場合、そうそう大きい事件や出来事でないと、覚えていないのだけれど。
仮に小さな事件が全国ニュースで流れたとしても、一年後には忘れている人がほとんどだろう。
その出来事を忘れられないのは、被害者と当事者だけだ。
雨の主張が激しくなる。風が外でうなっている。
こんな中、夜には外に出なければならないのかと思うと少し憂鬱な気分になる。しかし、久しぶりの中学の友人に会えるのは、吝(ヤブサ)かではない。
時間が来るまで、家で本を読んだり、映画を見たりして暇を弄んだ。
集合時間の二時間前に、慣れた手つきで化粧をし始める。
中学、高校生時代は化粧をして外を出歩けないと言っていた大人が信じられなかったが、今となっては身を持って痛感している。
すっぴんの場合、絶対にマスクが無いと生きていけない自信がある。これが時の流れか、と痛感する。
外へ出ると雨脚は少し弱まっていた。傘を打つ雨がまばらだ。