罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


『七年越しの修学旅行』

何かのドラマや小説のタイトルのような響き。

一花が発したこの言葉が、どこか魅力的に感じたのは、私が過去にばかり未練を残しているからだろうか。

高校を卒業してから、私は過去に戻りたいとしか思っていなかった。

ううん。違う。

“あの出来事”があってから、私は毎日あの日の事を後悔している。

あの日に戻りたいと、思っているのだ。


「うおー!それあり!!!」


考え事をしていたため、大野が発した大きな声に肩をビクッと震わせた。

大野と一花が今日一番の盛り上がりを見せ、テーブル越しにハイタッチを交わす。

「ね、菜々も行きたいよね!?」

「うん、いいね。思い出作り」

「それじゃあ満場一致ってことで!」

うぇーい!!とノリノリでもう一度乾杯をする三人に合わせて、私もグラスを合わせた。

誰かと一緒にいる時が、一番安心する。

それはきっと、何かで頭がいっぱいになると、あの日の事を一瞬でも忘れる事が出来るからだ。

……でもね―――――岩崎先生。

次の瞬間にはまた、楽しんでる自分に対して罪悪感が私の中を征服していくの。


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