罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

―――――――…


部活を終えて、片づけを済まし、雨に濡れないよう小走りで部室に入る。

部活を始める時に比べ、だいぶ雨脚が弱くなっていてよかった。

タオルで少しだけ濡れた髪の毛を吹いて、制服に着替え、外に出る。雨のせいもあり、普段ならまだ少し明るいはずなのに、辺りは既に暗くなっていた。

折り畳み傘をさして駐輪場に向かう。

「あ、」

駐輪場について、自分の自転車に鍵をさした所である事を思い出した。

明日提出のプリント、机の中に置きっぱなしだ…。

「はぁ……」

深いため息を思わずつくも、部活終わりの生徒で賑わう駐輪場では、そんなもの笑い声でかき消されてしまう。

めんどくさいな、と思いつつ校舎へと歩みを戻す。


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