罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。



夜の教室は、どこか私の探求心をくすぐる。

この教室だけでなく、他の階はどんな感じなのだろう、と。

普段とは違う雰囲気に、特別感を覚えるからだろうか。みんなが知らない教室の顔を見たような気持ちになる。

電気をつけ、パタパタとスリッパで歩く音が静かなここに響く。


「あったあった」

机の中からプリントを取り出して、自分のリュックへ入れると。


「海野?」

廊下から聞こえた声に顔を上げれば、そこには岩崎先生の姿が。



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