罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


「まだいたのか」

先生は扉に寄りかかるように右側に重心をかけた。

私は「プリント忘れちゃって」と言いながら、先生に近づく。

「先生送ってってよ~」

先生の着ている黒いジャージの裾を引っ張るが、ベシッと払われる。


「先生にため口を使う人は俺の車に乗る資格はありません!」

「ええ!送ってってください。お腹すきすぎて自転車漕げません」

「ったく。…ほら。手出して。他の皆には内緒だからな?」


そう言って金色の包み入っている小さな何かを私の手のひらに置いた。

「先生、何これ?」


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