罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


「キャラメル」

「くれるの?」

「それ食べて、早く帰りなさい」

「わーい」

私は包みをはがして、小さな長方形の形をしたキャラメルを口に含む。

甘い優しい味が口全体に広がり、私の中を幸福感が満たしていく。

この包み紙は捨てないで大切に取っておこう…。先生からもらったものは、なんでも宝物だ。もらったものなんて、これが初めてだけど。

私は綺麗にたたんで、制服のポケットにいれた。


「お、原川。お前も忘れものか?」

先生が横を向いた先にいたのは、制服に着替え終わり、エナメルバッグを肩にかけた原川の姿が。


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