罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。



メッセージアプリには、翔は高校生の頃から登録されていた。

電話番号を知っていれば自動的に登録される仕組みだからだ。中学生の頃に電話番号を交換していたので、アプリをインストールした時には既にいる状態だった。

しかし、高校生の頃は翔の事なんて思い出したことがあったか怪しいレベルなので、無論メッセージを送ろうと思ったことはない。

2年4組のグループラインが出来て、久しぶりに翔のトプ画を見たぐらいだ。

いや、見たのはSNSを無視された時かな……。

それは私の知っている翔とは別人のようで、とてもカッコよくなっていた。

それだけじゃない。

一花もハルちゃんも、輝も。皆大人っぽくなっていた。

だから私も、少しはお洒落しなきゃと思っただけだ。


「やば。そろそろ行かなきゃ」


電車の時間が近づいてきたので、私は慌てて家を出た。



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