罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

「うっわ~……。こういう日に限ってまた遅延……」


中央線の遅延率は、他の路線に比べてかなり高いのではないかと思ってしまう。

19時近くの八王子駅は、ちょうど帰宅ラッシュのため帰ってくる人たち、また、帰ろうとする人たちで溢れかえっていた。それに加え遅延ときたら、いつもの倍はこのホームに人がいるに違いない。


「はぁ……」


仕方ない。京王線で行くか……。

八王子駅から徒歩10分ほどの所にある京王八王子駅は、早歩きで行けばすぐについた。

半ば予想はしていたが、中央線が使えない影響により、京王線のホームはとても混んでいた。しかし電車が動いている分、あちらより比べ物にならないぐらいマシだ。


電車がホームについて、川が流れるように人が車内に入り込む。

田舎の地元では絶対に見ることが出来ない光景。そしてその中にいる自分。

後ろの人に押されるように私は電車に乗り込んだ。



< 46 / 64 >

この作品をシェア

pagetop