罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。


てっきり京王線かと思っていた……。

「じゃあ菜々の事頼んだよ。私たちホームあっちだから、また今度ね」

「俺一回山手線使うから。じゃあな」


そういって大野、一花、そしてハルちゃんは手を振りながら歩き出した。私はそれに小さく手を振り返した。


「あれ、海野も中央線沿い?」

「うん。今日は遅延してたからたまたま京王線使ったの。普段は八王子駅使ってる」

「マジか。俺も八王子」

「そうなの!?」

ってきり京王線沿いの、八王子よりも前の駅から乗ってきていたかと思っていた…。

住でいるところも同じ市内だったなんて。


「なんつーかさ、俺たちって小学校1年生から中2までずっとクラス同じで、実家も近所で、中3でクラスが離れて、高校も別々大学も別々になったと思ったら、結局東京での住まいが近いって……すげーな」

「……ほんと、すごい。腐れ縁にもほどがあるよ」


当時はクラスが離れた時「やっと離れたー!」って言い合ったのを覚えてる。


「今思えば私たちって、幼馴染みたいなもんだったのかもね」

「……そうだな」


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