罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。

Side B




「はっっっくしょん!!」



女子高生のクシャミとは思えないほど、汚らしい声を出した私の隣でドン引きという表情を隠しきれてない理子。



「菜々……それは私のお父さんと同じクシャミの仕方よ」



すでにスニーカーを履き終えた理子は、よいしょっと言って立ち上がった。

私はそれを横目で見て新しく買ってもらったばかりのスニーカーの靴紐を結ぶ。



「しょうがないでしょ~花粉症なんだから」


田舎にあるこの高校は近くに山があったり、土手があったり、川があったりと、自然豊かな場所。


そのため花粉症の私に、外での体育はとても辛い。もうすぐ5月も終わりを迎えるというのに、花粉はいまだに収まっていないようだ。




「あ~今日はサッカーかぁ……」



運動が得意でない私は、体育の授業がすこぶる嫌いだ。

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