罪を犯した織姫と、傷を背負った彦星は。
【二人の髪を揺らす風が同じで~♪二人が過ごした時も~】
イヤホンから流れる音楽にハッと我に返れば、視界がぼやけ、瞬きしたら涙が溢れてしまう程たまっていた。
雫を溢さないようにそっと瞼を閉じる。
暗闇に包まれるそこは、いつだって私にあの頃を見せてくれる。
見慣れた街並み、聞きなれた声。
思い出すことは出来るのに、もう二度と、この街にはもちろん、あの街にも、同じ風は吹かないのだ。