キミへの想いは、この声で。
でも──……。
『私でよかったら、お願いします』
もしもこれをきっかけに友達が増えるのなら……。
もしもこれがきっかけであの辛い出来事が忘れ去られるなら……。
この機会を逃したくない……。
「ありがとう、茜ちゃん!」
だって、きっとこれは……。
「ありがとな、茜!」
颯太くんが私に与えてくれた、チャンスだと思うから──……。
*
「オーバーハンドパスの練習するよー、よーい」
──ピーッ!
体育館のあちこちに散らばった私たちは先生の笛を合図に、両手でバレーボールを真上にあげた。
オーバーハンドパスはみんなが苦手とする分野ではあるが、私はそれほどオーバーハンドパスは苦手ではない。
……だからといって、ずば抜けて上手いわけでもないけど。