キミへの想いは、この声で。

でも──……。


『私でよかったら、お願いします』


もしもこれをきっかけに友達が増えるのなら……。

もしもこれがきっかけであの辛い出来事が忘れ去られるなら……。


この機会を逃したくない……。


「ありがとう、茜ちゃん!」


だって、きっとこれは……。


「ありがとな、茜!」


颯太くんが私に与えてくれた、チャンスだと思うから──……。





「オーバーハンドパスの練習するよー、よーい」


──ピーッ!


体育館のあちこちに散らばった私たちは先生の笛を合図に、両手でバレーボールを真上にあげた。


オーバーハンドパスはみんなが苦手とする分野ではあるが、私はそれほどオーバーハンドパスは苦手ではない。


……だからといって、ずば抜けて上手いわけでもないけど。

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