キミへの想いは、この声で。

「うっ……、やっぱりあのボール直樹かよ……。

もう少し弱いのにしてくれよな」


腹部を押さえながらあきれたように話す彼。


直樹……ってたしか、颯太くんがよく話す人。


……苗字はたしか徳原くんだったはず。


「あれでも充分弱気のつもりだ」


そんなふたりのやりとりにおどおどしてしまう私。


ちょうどそのとき、先生の笛が体育館に響き渡った。


「じゃあ次、アンダーハンドパスの練習するよー。

よーい!」


──ピーッ。


先生の笛の合図で周りのみんなが練習をし始めた。


「ねぇ、颯太も直樹もみんな練習してるんだから、練習しようよ」


ずっと黙っていた優乃ちゃんがふたりに呼びかける。


「……優乃に言われたら仕方ねーな。

ほら、颯太。立ってちゃんと練習しよーぜ?」


「練習してたから!直樹が邪魔したんだろ」


「ふたりともケンカしないでやってください」


優乃ちゃんの呼びかけにふたりも練習に取りかかった。

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