キミへの想いは、この声で。
……優乃ちゃんと徳原くんはさっきからケンカしてばかりだけど、実はこれが日常茶飯事なんだって、後々颯太くんに聞かされた。
「ねぇ、茜!
この問題の解き方って、これで合ってる?」
「おい、お前……。
俺に聞いといてそれはないだろ」
徳原くんのあきれた声に少し焦りを感じながらも、私は優乃ちゃんの計算ドリルに目を向けた。
すると式の途中で間違った箇所を発見した。
『ちょっと違う』
「え!どこ!?」
焦る優乃ちゃんを横目に、指を差して〝ここ〟と場所を説明する。
「……うーん?…………あ!ホントだ!
ありがとう、茜!
やっぱり直樹より茜のほうがわかりやすいわ~」
ポンポンと私の頭を撫でる彼女。
最初は〝茜ちゃん〟って呼んでいた彼女も一週間経過した頃には〝茜〟と呼ぶようになった。