キミへの想いは、この声で。
すると、ひとりの男子がふたりに近づき、からかうように言った。
「お前らなに手つないでんだよー」
そのたった一言でクラスの騒ぎ具合はいつもの三倍近くにもなった。
みんなが注目していたのは、〝息を切らしてやってきたふたり〟ではなく、〝手をつないでやってきたふたり〟だった。
……大方、チャイムに遅れそうになったから、颯太が佐藤の手を引っ張ってここまで来たってだけの話なんだろうけど。
みんなにとっては、そんなこと関係なかった。
「お前らいつのまにカップルだったんだよー」
「颯太、佐藤と手つないで入ってきて……、見せびらかしたかったのかよー」
「そんなんじゃないから!」
もうふたりは手なんてつないでいないのに、騒ぎは大きくなる一方だった。