キミへの想いは、この声で。

「颯太くんと付き合うとか、佐藤さんムカつくんだけど」


「ねー。声も出ない人なんか相手にして、佐藤さんのどこがいいんだろう?」


「声が出なくて友達いないからかわいそうになったんじゃない?

ほら、颯太くんって優しいから」


教室の後方では、一部の女子の陰口まで聞こえた。


颯太は男女問わず友達が多くて、女子人気も高かった。


それだから今のこの状況は、アイツらにとっては気にくわないらしい。


……でもだからって、佐藤が悪く言われる筋合いなんてどこにもない。


俺はイラッとして、席を立ち上がった。


アイツらに一言文句が言いたい。


そう思ったけど……。


「ちょっと、なにこの騒ぎは?

早くみんな席についてー」


生憎、うちの担任がやってきてしまった。


「……チッ」


来るならもっと早く来いよ。

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