キミへの想いは、この声で。

「別にそんなこと気にすんなよ」


「……また、茜のこと傷つけたのかな」


「え?」


ボソッと独り言のように呟く颯太。


……〝また〟?


「〝また〟ってなんだよ」


「ほら。前の学校でも茜はあんな風にクラスメートにいじめられて傷ついたわけじゃん」


「……」


佐藤がいじめられて声が出なくなったことは、颯太からこっそりと聞いていたから知っている。


……まだ佐藤には、そのことを話せていないけど。


俺も優乃もそのことをしっかりと理解した上で、佐藤と接していた。


「今日のと佐藤の昔のは違うだろ」


「……でも、傷つけたことには変わりないじゃん」


「はぁ……。そんなに気にすることねーって。

どうせすぐに消えるから」


俺は頭をガシガシとかきながら、そう言った。

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