キミへの想いは、この声で。
「私、あの子と仲良くなれそうにないや」
「私も。声が出ないって会話ができないってことでしょ?
どうサポートしろって言うの?」
あちらこちらから漏れて聞こえるそんな声。
ひそひそ声だったから、佐藤の耳には届かなかったと思うけど、聞いていて気分の良いものではなかった。
険悪な空気のなか、話は進んでいき、佐藤は颯太の隣の席になった。
颯太が隣なら安心だなとホッとしていると、早速颯太は彼女に話しかけていた。
「俺、川島颯太!
これからよろしくな!」
ひそひそ声だったけど、颯太とは席が近かったから、微かにだけどその声が聞こえた。
だけど当然のことながら、佐藤の声が聞こえてきたりはしない。