キミへの想いは、この声で。

「……そっか。

理由が聞けてよかった。

呼び止めて悪かったな。じゃーな、颯太」


「またな、颯太!」


質問をしたふたりは謎が解けてスッキリしたのか、サーッと走って帰っていった。


「ねぇ、颯太……」


穏やかな沈黙が流れるなか、優乃が颯太に話しかけた。


「ん?」


「佐藤さんって、どんな子?」


「そうだなー……。

人見知りみたいだから、すぐに仲良くなるとかは声とか関係なしに難しいと思う。

人を信じることに怯えているような気もするし……。

でも、優しい子なのは間違いないよ。

それは俺が保証する」


「そっか。

普段、佐藤さんとは筆談で会話してんの?」


「あー、うん。

手話もできるみたいだから手話のときもあるけど、俺手話をまだマスターしてねーから、日常会話とか話が長くなるときはだいたい筆談」


颯太が苦笑いを浮かべながら、そんなことを話す。

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