キミへの想いは、この声で。
story*13 冬休みのはじまり
【side 茜】
「いろはにほへと、ちりぬるを。
はい。直樹、抜けていいよ」
徳原くんが抜けて、四つくっついていた靴は三つに減った。
ピンク色と青色と水色……、とてもカラフルな靴たち。
爪先の部分に再び手を置いた優乃ちゃんは、言葉と同時にその手を動かしていった。
「……はにほへと、ちりぬるを。
はい。茜、抜けて」
私の靴でその手が止まり、優乃ちゃんは私に抜けるよう指示した。
今……、なにをやっているか、それは一時間前に遡る──。
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