キミへの想いは、この声で。

「よし、あとは優乃たち探しに行かないとな」


颯太くんがそう言って缶から移動した直後、茂みから素早く誰かが走ってきた。


あれは……、徳原くんだ!


颯太くんもそのことに気がつき、缶に走り戻った。


缶までの距離とふたりの速さ……。


多分、結果は──……。


──コン。


「はぁ、はぁ……。ギリギリ間に合った……」


颯太くんが缶の上に足を乗せたまま、そう呟いた。


「はぁ……。ごめん、佐藤。

助けらんなくて」


徳原くんは私に近づくと、すぐにそう謝罪した。


『ううん、大丈夫』


距離的に颯太くんのほうが有利だったから、こうなっても仕方ない。

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