キミへの想いは、この声で。
……私、鬼やってない。
いくらなんでも、そろそろやったほうがいいよね?
「じゃあ、次の鬼決めよー」
『颯太くん』
私はみんなに呼びかける颯太くんの袖をそっと掴んだ。
「どうした?茜」
『私……、鬼やってないから、次は私が鬼やるよ』
みんなにばっかり鬼をやらせて、私だけ逃げ続けてるわけにはいかない。
そう思った。
だけど颯太くんは、私に鬼をやらせることはせず、代わりに私の頭をポンポンとした。
フッと優しい笑みを見せて。
それの意味がまったくわからなかったけれど、そのあとも缶けりは続いた。
不思議なことに、私が鬼になることは一度もないまま、門限の時間までやってきていた。