キミへの想いは、この声で。
……全部、私のためだったんだ。
鬼にさせてくれないんじゃなくて、鬼にならないようにしてくれてたんだ。
『ありがとう、優乃ちゃん』
「お礼なら、颯太に言いなね。
言い出しっぺは私じゃないから」
え?颯太くんなの?
私は驚いて颯太くんのほうを振り向く。
驚くことに颯太くんは私を見て微笑んでいた。
「なんも気にしなくていいから」
ただ一言、そう言って。
……どこまで優しいんだろう、私の友達は。
私は三人に別れを告げると、家に向かって歩きだした。
冬の空は夏と違い、五時でもすごく暗い。
向かいからやってくる冷たい風で身体は凍えていたけれど、胸の奥はポカポカととても温かくなっていた。
.
*
.