キミへの想いは、この声で。
story*1 転校先で出逢ったのは?
【side 茜】
「ほら、みんなー。席ついてー。
今から、転校生を紹介するわよ」
教室から、女の人の大きな声が聞こえてくる。
私はその声を聞きながら、〝5年3組〟と書かれた札をじっと見つめていた。
「佐藤さん、入っていいわよ」
先程大きな声を出していた女の人が、教室からひょこっと顔をのぞかせる。
私はその言葉にちいさく頷くと、少しためらいながら、教室へと上がりこんだ。
教卓の前に立たされた私は、一気にみんなの注目を浴びる。
怖くて少しだけ、手が震えた。
そんな私のそばで、チョークを片手に黒板に文字を書いていくのは、さっきの女の人──このクラスの担任の先生だった。
チラッと黒板に目をやると、自分の名前がでかでかと書かれていることに気がついた。