キミへの想いは、この声で。

「ほら、入っていいぞ」


扉を開けて、中を確認した徳原くんが、私たちに家に入るよう促す。


「お邪魔しまーす」


「おばちゃん、お邪魔します」


幼なじみのふたりは、慣れた様子で家へと上がりこむ。


「あら、いらっしゃい。優乃ちゃん、颯太くん。

……あなたは、佐藤さんかしら?」


徳原のお母さんらしき人は、私を不思議そうな目で見つめる。


声の出ない私は、言葉の変わりにペコッと頭を下げた。


「……話は聞いてるわ。勉強会をしに来たのよね?」


「あぁ。……一応」


い、一応……?


徳原くんの返事に、私は少しばかり驚いてしまった。

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