キミへの想いは、この声で。

『じゃあ、どうして順位表の一番上に〝ひなた〟って、名前があるの?』


〝ひなた〟なんて、名前は珍しくない。


昔の友人の名前が颯太くんの双子の兄と同じ名前だったなんて、偶然があっても別に不思議ではない。


だけど……、颯太くんたちは双子のお兄さんのことを〝ようた〟と言っていた。


もしかして、彼の双子のお兄さんは──……。


「ごめん、茜。ずっと、ウソついてて……」


颯太くんはバツが悪そうに俯く。


「茜に〝ひなた〟って教えたら、名前だけでも昔のことを思い出して動揺するんじゃないかって思って、言えなかった……」


え……。


私のためだったの……?


「私もごめん!ウソついて……」


「俺も……、ごめん。

佐藤の声のこと颯太から聞いてて……、颯太の双子の兄ちゃんがひなたって聞いたら、佐藤は動揺するだろうって颯太に言われて、俺らも隠してた」


三人は私に隠していた理由をすべて話すと、頭を下げて謝ってくれた。

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