キミへの想いは、この声で。

……じゃあ、みんなが〝ようた〟とか〝よっちゃん〟って呼んでいたのは、全部私を動揺させないため?


みんなは、私の辛い過去を知っていたから、思い出さないように隠してくれていたの?


真実がわかったその瞬間、私の瞳からは涙が溢れた。


一生懸命、袖で涙を拭っても拭いきれなくて。


「茜」


そんな私を優乃ちゃんは優しく抱きしめてくれた。


何度も「大丈夫」と言いながら。


しばらくして泣き止んだ私は、勘違いしたことを颯太くんたちに謝った。


てっきり、颯太くんのお兄さんは私の友達のひーくんだから、それがバレないように隠していたのかと思っていたけど……、そうじゃなかったんだな。


……そうだよね、そんな偶然あるわけないよね。

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