キミへの想いは、この声で。

「本当に!茜、暗いから気をつけて帰るんだよ!」


『うん』


優乃ちゃんが私の両肩に手を置いて、念を押すように言う。


「じゃあ、またな」


徳原くんはそう言うと、玄関の扉を閉めようとした。


「あっ、待って!直樹!」


だけど、扉が閉まる直前、優乃ちゃんが慌てた様子でドアに駆け寄った。


「……なんだよ」


「直樹の部屋にマフラー忘れた」


「……お前はアホか?早く行けよ」


徳原くんは家の中から外に出ると、優乃ちゃんを家の中へと通した。


「マジでありえねー……、アイツ」


「ハハッ」


ドアを背もたれにため息をこぼす徳原くんと苦笑いを浮かべる颯太くん。


ふたりの姿を目に焼きつけたあと、私は夜空を見上げた。

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