キミへの想いは、この声で。

「……陽太、お前……」


颯太が口を開きかけたそのとき、茜っちが俺の横を逃げるように走っていった。


「あっ、茜!待って!!」


咄嗟に追いかける颯太。


「どうしたんだろう、茜……」


「もうすぐ門限だからじゃね?」


優乃と直樹は、俺の目の前でそんな会話をする。


「違う……」


「え?陽太?」


「……俺が来たから……、走っていなくなったんだよ……っ」


苦し紛れに俺がそう口にすると、ふたりの表情が強ばった。


「それどういう意味?」


「……俺は昔……、茜っちを傷つけたんだ……」


「はぁ!?……じゃあ、茜が傷つけられた〝ひーくん〟ってヤツは、陽太だったの!?」


「ちょっと落ち着け、優乃……」


怒りマックスの優乃に、落ち着きを取り戻させようとする直樹。

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