キミへの想いは、この声で。

「……とりあえず、お前が佐藤を傷つけた理由ってのを聞いてもいいか?

颯太挟んで聞いた話じゃ、佐藤にだいぶひどい言葉を投げかけたみたいだけど……。

……本気で佐藤を傷つけるために言ったのか?」


直樹はまるですべてお見通しとでも言うような口ぶりで話す。


「……いや、違う。

たしかに傷つけたことには変わりないけど、本当は……。

茜っちを守るために言ったんだ」


「どういう……こと?」


さっきまで怒っていた優乃も、俺の言葉で真剣な顔つきへと変わった。


「……あのときの俺には、茜っちを傷つける以外に助ける方法はなかったんだ……」


俺は夜空を見上げながら、ふたりに俺のした過ちをすべて話した──。


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