キミへの想いは、この声で。
「陽太くん、ちょっと話があるの」
茜のいじめを知って、しばらく経った、ある日の放課後。
俺は見知らぬ女子に、廊下で声をかけられた。
「……なに」
俺は冷たい視線と声をそいつに浴びせた。
当時の俺は、あまり人と関わりたくなかったために、男子と茜っち以外には塩対応を取っていた。
……女子はキャーキャーうるさくて、相手にしたくなかったから。
俺に話しかけてきたそいつも、一オクターブくらい高い声で、耳が不愉快な思いをしたことを今でもしっかりと覚えている。
そいつは、ちょっと来てと俺を連れだすと、一階の階段横のスペースに向かった。
「……話ってなに?」
俺はイライラを抑えながら、後ろを向いているそいつに問いかける。