キミへの想いは、この声で。

「約束通り、いじめはもうやめるわ」


満足げにクスッと微笑んだそいつは、俺の前からパッと消え去った。


その後、そいつの言ったとおり、本当にいじめはなくなって。


よかったと思っていたけど、その日以降茜っちの声を聞くことはなかった。


……声が出せなくなったって、クラスのヤツらが言っていて。


俺のせいとはわかっていたけど、謝ることができなくて、月日は流れていくばかりだった。


そして、あの夏の日──。


「突然だが、佐藤さんは転校した」


茜っちは俺の知らない遠い場所へと行ってしまった。


なんとか先生に学校名を聞くと、それは偶然なのか奇跡なのか、颯太の通っている学校だった。

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