キミへの想いは、この声で。

「だから……、もし兄弟のことを聞かれたら、そのときはひなたの名前伏せとくよ」


颯太は立ち上がると、俺を見下ろすようにそう言った。


「あぁ……、ありがとう」


「でも……」


ドアノブに手をかけた颯太は、一度言葉を止めると、俺のほうを向いた。


「もし、そのことを話すべきだと俺が判断した場合には、俺からその子に話す。いいな?」


颯太の力強い瞳に俺は一瞬目を見開くと、コクリと頷いた。


「あぁ……」


「じゃあ、約束」


久しぶりに来た颯太の部屋で、俺は颯太と約束を交わした。


それは、誰も知らない俺たちふたりの誓いだった──……。

< 243 / 337 >

この作品をシェア

pagetop