キミへの想いは、この声で。
「だから……、もし兄弟のことを聞かれたら、そのときはひなたの名前伏せとくよ」
颯太は立ち上がると、俺を見下ろすようにそう言った。
「あぁ……、ありがとう」
「でも……」
ドアノブに手をかけた颯太は、一度言葉を止めると、俺のほうを向いた。
「もし、そのことを話すべきだと俺が判断した場合には、俺からその子に話す。いいな?」
颯太の力強い瞳に俺は一瞬目を見開くと、コクリと頷いた。
「あぁ……」
「じゃあ、約束」
久しぶりに来た颯太の部屋で、俺は颯太と約束を交わした。
それは、誰も知らない俺たちふたりの誓いだった──……。