キミへの想いは、この声で。
story*3 ひとつの謎とふたりの距離
「おはよう!佐藤さん!」
前方から鍵を持って歩いてきた川島くんに今日も私は挨拶された。
すかさず私は手を動かして『おはよう』と伝える。
ついこのあいだまで、挨拶を交わすことすらできなかったのに、手話ができるとこんなにも変わる。
「今日は俺の勝ちだな!」
ヘヘッといたずらに笑う彼。
グータッチの日から数週間が経過した今日この頃。
最初は警戒しまくりだった私も、日を追うごとに警戒心が解けていくようになった。
……まだ、完全に解けたわけではないけど。
それでも出会ったときよりかは、彼のことを信じることができる。