キミへの想いは、この声で。

「茜。はい、これ」


颯太くんが缶のココアを私に手渡す。


『ありがとう』


「どういたしまして」


いつもと変わらず、拳と拳がぶつかり合う。


「……お前ら、それはなんなの?」


「陽太は、知らなくていいことだ」


「意味わかんね……」


ベンチに腰かけながら、みんなで熱を持った缶を両手で包みこむ。


あのあと──。


ひーくんは私に、たくさん謝ってくれた。


私を助けるためにしてくれたことなんだからいいよと許しても、ひーくんはなかなか頭を上げなくて。


それならと颯太くんが提案したのは、お詫びの印として缶のココアを奢るというもの。


ひーくんは、「そんなのお詫びになんねぇ」って言っていたけど、最終的には三人分のココアを買って戻ってきた。

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