キミへの想いは、この声で。
それでも私は、颯太くんに見えるように手話を続ける。
『ひーくん、もう一度……』
「陽太、茜はもう一度お前と友達になりたいんだ」
まだ、手話をしていないのに、颯太くんは私の気持ちを完全に読んでいた。
「……」
だけど、ひーくんはずっと俯いたまま、声をあげることをしなかった。
私は無意味と思いながらも、ポケットからミサンガを取り出すと、ひーくんの目の前へと来て、顔を覗きこんだ。
「……っ!」
『……ひーくん』
口パクでどれだけ伝わるかはわからない。
でも……。私はもう一度……。
ひーくんとミサンガをつけたいんだ。
「お揃いだね」って笑いあっていた、あの頃に戻りたいんだ。
私は青色のミサンガをひーくんの腕に結びつけると、自分のなかで一番の笑顔を彼に向けた。