キミへの想いは、この声で。
きっと、今声を出せるのは、ひーくんとの辛い過去が取り除かれたからだ。
私はあのときのストレスをきっかけに声を失った。
だから、それが取り除かれた今、しっかりと声が出せる。
「おめでとう……」
「ありがとう、お母さん……」
瞼を閉じて、みんなのことを思い出す。
早く、みんなに会って話がしたい。
ひーくんとも……。
そうだ、ひーくん!
まだ、こっちにいるかな。
私はお母さんから離れると、壁に掛けてある時計に目を向けた。
もうすぐ、十時半……。
まだ、間に合うかな。
私はスマホを手に取ると、メッセージアプリを起動させた。